旅立ちの美術【特集】

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 静嘉堂は、岩?彌之助(1851〜1908 岩?彌太郎の弟、三菱第二代社長)と岩?小彌太(1879〜1945 三菱第四代社長)の父子二代によって設立され、国宝7点、重要文化財84点を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊、和書8万冊)と 6,500点の東洋古美術品を収蔵しています。1977年より世田谷区岡本で所蔵する美術品の一般公開を開始し、1992年に創設100周年を記念し新たな美術館を開館いたしました。2022年、静嘉堂文庫美術館の展示ギャラリーを千代田区丸の内・明治生命管内に移転します。なお、美術品の保管管理・研究閲覧業務、並びに静嘉堂文庫(書庫)、敷地・庭園の管理業務は、現在の世田谷区岡本にて継続し行ってまいります。
 2021年4月10日(土)から6月6日(日)まで、「旅立ちの美術」を開催します。本展覧会を現在の世田谷区岡本からの「旅立ち」と位置づけ、旅立ちとそれに伴う「出会い」と「別れ」をテーマに、人々が憧れた理想郷への旅、時代とともに受け継がれていく名品の旅路などを紹介しながら静嘉堂のあゆみも振り返ります。

【本展3つのポイント】

1.静嘉堂所蔵の国宝7点すべてが集結!
前期(4月10日〜5月9日)は、当館が所蔵する《曜変天目》、《禅機図断簡 智常禅師図》など国宝7点を一挙に公開します。これは平成10年(1998年)の「静嘉堂・国宝展」以来23年ぶり、しかも展示室に一堂に会するのは初めてのことです。世田谷岡本での最初で最後の機会、お見逃しなく! ※後期は重要文化財《聖徳太子絵伝》を修理後、初公開いたします。

2.静嘉堂の名品に隠された逸話の数々!
岩?彌之助、岩?小彌太の父子二代によって設立された当館。集められた名品には様々な逸話が残されています。作品が伝えられた歴史、あるいは名品を手渡す者、受け継ぐ者それぞれの思いなど、美術品の表面を見るだけでは分からない、ウラ側のお話を紹介します。

3.世田谷のギャラリーはこれが見納め!
来たる2022年、創設130周年・美術館開館30周年を迎える静嘉堂は、美術館展示ギャラリーを丸の内に移転します。丸の内は、当館創設者・彌之助が美術館建設を夢見た場所です。本展は移転前、世田谷岡本での最後の展覧会となります。

【展覧会の見どころと各章のご紹介】

1. 旅立ち−出会いと別れの物語
 旅立ち−それは別れとともに新たな出会いを予感させます。日本の春は、卒業・入学、退職・就職と多くの別れと出会いが繰り返されます。古来、日本・東洋においては、そうした節目に詩歌や書画を贈り、はなむけとしました。
 禅の世界では弟子や友へ、悟りの道を示す言葉や仏法の真理を詩文の形で表した墨蹟などが書き与えられました。また漢詩の世界では送別がひとつの大きなテーマです。日本でも広く知られる中国・唐時代の詩人、王維や李白の送別詩に詠われる、青々とした柳や岸辺を離れていく船は別れの象徴となり、それらは絵画に描き込まれ送別の図として贈られました。

 こうした旅立ちのイメージは物語の中にもさまざまに残されています。「昔男」を主人公とする『伊勢物語』には「東下り」の話が、『西行物語』では西行が「数寄の遁世」を求め武士の身分も家族も捨てて出家し、歌枕を訪ねて諸国をめぐります。また物語のイメージは、旅を現実だけでなく異界へも導きます。仏教や道教の逸話では冥府や地獄をめぐったのち、よみがえるストーリーがしばしばみられます。芸術によって、人はイメージの世界を旅し、多くの文学・美術作品を通じて、異界の見ぬ世の友のもとへ旅してきたのです。

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(左上)国宝 因陀羅・楚石梵琦題 《禅機図断簡 智常禅師図》 元時代(14世紀)、前期展示(4月10日〜5月9日)
(右中央)重要美術品 陳賢《老子過関図》  明〜清時代(17世紀)
(右上)重要文化財 九淵龍賝題 《万里橋図》  室町時代・応仁元年(1467)題
(左下)長次郎 《黒樂茶碗 紙屋黒》  桃山時代(16世紀)
(右下)河鍋暁斎 《地獄極楽めぐり図》のうち  明治2〜5年(1869〜72)、場面替えあり

2. 理想郷へ−神仙世界と桃源郷

0303tabidachi_02a.jpg 旅立った人びとはどこへ行くのか−不老不死の仙人になることを夢見た古代の中国人は、死後魂が旅立つ神仙の世界を、墓室の壁画や副葬品の中に造形化しました。そして西の砂漠のかなたにそびえるとされた仙山、あるいは東の海のかなたの仙島、山深い洞窟の向こうにある隠れ里に理想郷の姿を重ねて想いを馳せました。また理想郷の入り口は日常を過ごす市井にも隠れていることが物語に記されています。「邯鄲の枕」の故事に見るように枕は夢や願いをかなえるアイテムとして、壺や瓢箪は仙人が仙境や異世界へ行くための入り口として機能しています。また親しい友や愛する人たちとの酒宴によってもたらされる陶酔は、理想郷にも似た境地へ誘ってくれることでしょう。本章では、時代や人びと、それぞれのユートピアのかたちを探ります。

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(右上)《斜縁二神二獣鏡》  三国時代(3世紀) (下2枚)川端玉章 《桃李園・独楽園図屏風》  明治28年(1895)

 

3. 名品の旅路
 今日文化財と呼ばれる古く美しき品々は、ひとの手から手へと渡り、今に伝わっています。その意味では、美術品の長き伝来の道すじもまた「旅立ち」と「出会い」を繰り返す「旅路」です。静嘉堂に安住の地を得た美術品にも隠れた伝来の物語があります。
 優れた道具・美術品には、古刹や名家、あるいは名だたる数寄者たちのもとを渡り歩いた足跡ともいうべき記録が、箱書や付属文書などとして残されています。書画は時代を経て改装されていき、茶道具ならば人の手を経るたびに品物をまもる収納箱が増えて、伝来の厚みも増していくものです。本章では、所蔵者たちと名品との出会いと別れにまつわるエピソードを紹介します。

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(左)《古瀬戸芋子茶入 銘 雨宿》室町〜桃山時代(16世紀)、後期展示(5月11日〜6月6日)
(右)国宝 《曜変天目》南宋時代(12〜13世紀)

 

4. 旅する静嘉堂−静嘉堂のあゆんだ130年

 恩師・重野成斎の歴史編纂事業を助けるため、書籍の蒐集を始めた岩?彌之助は、明治25年(1892)、神田駿河台の自邸に静嘉堂文庫を創設し、重野を初代文庫長に迎えました。彌之助没後の明治44年(1911)小彌太は父が晩年本邸として建設した高輪邸に隣接して、鉄筋コンクリート造の書庫をつくり、静嘉堂文庫を移設します。その後、関東大震災を経て、小彌太は図書や美術品など貴重な文化財の永存をはかるため、大正13年(1924)、父の霊廟のかたわらに洋館を建築し、高輪から静嘉堂文庫を移します。こうして歩んできた移転の歴史もまたひとつの旅といえるでしょう。
 静嘉堂での美術品の一般公開は、昭和52年(1977)に展示館を開設したことにはじまり、平成4年(1992)には静嘉堂文庫創設100周年を記念して現在の美術館を建設、以来29年間、本展まで115回の展覧会を開催してきました。

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岩?家深川別邸洋館 明治22年(1889)竣工

 

 来たる2022年、創設130周年・美術館開館30周年を迎える静嘉堂は、その美術館展示ギャラリーを創設者・彌之助が美術館建設を夢みた地・丸の内に移転します。

【開催概要】
■展覧会名:旅立ちの美術
■会期/2021年4月10日(土)〜6月6日(日)
<主な展示替え> 前期:4月10日(土)〜5月9日(日) 後期:5月11日(火)〜6月6日(日)
■会場/静嘉堂文庫美術館(東京都世田谷区岡本2-23-1)
■開館時間/10時〜16時30分 ※入館は閉館30分前まで
■休館日/月曜日〈ただし5月3日(月・祝)は開館〉5月6日(木)
■入館料/一般1,000円、大学・高校生700円、障がい者手帳提示の方及び同伴者1名700円
■問合せ/050(5541)8600 ハローダイヤル

◎ホームページ→ http://seikado.or.jp/
twitter : @seikadomuseum


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更新日:2021年3月3日(水)

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