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コラム

  • 第10回 初めてのきもの

    ■■ 第10回 初めてのきもの ■■ 祖母が裁縫に使っていた絹糸 ■■着付もできないのに買った単衣  同居していた祖母は、きもので生活していました。私が小学生くらいまでは、朝起きたときにはすでに着替えてお行儀よく座っていたので、祖母の寝間着姿を見たことがないくらいでした。紺地や深緑の地の地味なきものに半幅帯を貝の口に結ぶのが定番でしたが、あれはどんなきものだったのだろう。祖母はきものの仕立てができたので、お小遣い稼ぎに知人のきものを縫ったり、母のために縫ったり、時には私や妹のために縫ったりと、いつでもお裁縫をしていました。きもの好きの母は、お出かけというと和装。入学式や卒業式はもちろん、授業参観日もきものでしたが、当時はそういうお母さんがクラスの中に10人くらいはいたのです。  そんなわけで、きものに馴染みのある生活をしてはいましたが、かといって大人になってから自分で着るようになったかというとまったくそうではなく、成人式で振袖を着て以来、40代半ばまではきものと無縁の生活をしていました。それが突然目覚めたのは、たまたま知人の染色家の個展でインドシルクを染めた生地で作ったきものを見たからです。彼女は普段は同じ生地で洋服を作っているのですが、その時は初の試みできものを作って着ていて、それを見たときカジュアルでいいなぁ、こんなきものなら着てみたいなぁと思ったのです。それで、着付もできないのに、紫の単衣とそれに合う帯を買いました。それが自分で買った初めてのきものでした。  せっかくきものと帯を買ったのに、着付を習ったのはそれから2年ほど経ってから。ある時、着付教室の広告を見つけ、近所の友人を誘って教室に通い始めたのです。着付ができるようになると世界が広がります。一緒に習った友人がきもの仲間になり、用もないのに着てみたり、きもので出かけたり、きもの談義をしたりと、きものの楽しさにハマっていきました。そのうち着付けも15分か20分でできるようになり、洋服とあまり変わらない感覚で気楽に着られるようになりました。そんなこんなで、ようやくきものが生活に入ってきて、いざという時は和服という選択ができるようになったのです。いつか年をとったときに、祖母のようにゆるゆると楽に着られるようになっていたらいいなぁというのが今の目標です。 ■■ 和服のときに持つバッグ  きものや浴衣を着るとき、小物のすべてを揃えようとすると、お財布もしまう場所も大変です。いかにも和装用というのは野暮ったい気もするし、第一モノが入らないのは困ります。私たちが普段バッグに入れて持ち歩くものは、財布、スマホ、ハンカチとティッシュ、メガネケースや化粧ポーチなど結構たくさんあります。小ぶりのきもの用バッグと布のトートバッグを併せて持ち歩くのをよく見かけますが、あれはどうもスマートじゃなくて好きではないのです。そんなことをするくらいなら、大きめの普通のバッグを1つ持った方がカッコイイ。そんなことも含めて、私は洋服のときに持つバッグをそのまま和服でも持つようにしています。もちろんショルダーバッグはNGですが、ハンドバッグであれば大きくても小さくても構わないと思います。浴衣に合わせるなら、やっぱり涼しげな籠がいいですね。山葡萄の籠は洋服でも浴衣でも使えるお気に入り。物がたっぷり入るところも便利です。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第9回 夏きもので日本橋へ ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 更新日:2021年8月4日(水) 『大人の嗜み』についてご意見・ご感想をお聞かせ下さい。 ★このコラムに対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。下記フォームより必要事項をご記入して頂き送信して頂いた方の中から抽選で10名様に『有松絞りの手拭い』をプレゼント!! ★プレゼント応募〆切は8/31(火)12:00まで※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。(色は選べません) [[aform017]]

  • 第9回 夏きもので日本橋へ

    ■■ 第9回 夏きもので日本橋へ ■■ 夏のきものほど素敵なものはない      夏のきものは涼しげで素敵です。蝉の羽のように透けた素材や、ざっくりと織られた帯地など、日本の染織の個性的な素材感がひときわ目立つような気がします。真夏の暑い日にきものを着て、汗ひとつかかずに佇んでいる女性を見ると、憧れと尊敬の念を禁じえません。だって、見た目には涼しい夏のきもの、着る者にとっては死ぬほど暑いのですから。冷房が効いた部屋ばかりならいいのですが、移動で外を歩く時などは汗だくになってしまいます。特に最近の夏の暑さは尋常ではありませんから、この季節にきものを着るには相当なやせ我慢が必要なのです。その心意気も含めて、夏きものはやっぱり"粋"なのです。カッコイイのです。根性のない私は、お気に入りの琉球絣がもう何年もタンスの肥やし。今年こそ頑張って着てみようかなぁと思っています。 ■■ ゆかたの下着 ゆかたのいいところは長襦袢がいらず1枚で着られること。とはいえ、いざ着る時に意外と大事な下着問題。ゆかたの下に何を着たらいいのかわからない人も多いようです。ゆかたは元々お風呂上りに着る寝巻きのようなもの。外出することは前提ではなく素肌の上に直接着るものでした。でも、今は立派な外出着。生地によっては透けるものもあるので流石に下着は必要です。きもの用のスリップ式の下着なら胸元も足元もカバーするので安心ですが、「そんなの持ってない」というなら、タンクトップとキャミソールでも十分代用できます。要するに、袖口や裾から素肌が露出しなければいいのです。因みにブラとショーツは普段のもので大丈夫。生地によっても透け感が違うので、透けない色を選ぶことは大事ですね。なるべく涼しく着られるように、それぞれが工夫すればいいと思います。 ■■ きもので得する「日本橋きものパスポート」  さて、この夏きものやゆかたでお出かけするなら断然日本橋が面白そうです。2021年4月3日で日本橋が開橋110年を迎えたのを記念して、日本橋・人形町にきものやゆかたで行くと色んな特典が受けられる「日本橋きものパスポート」が使えるからです。この企画には60店鋪が参加、きものまたはゆかたで対象店舗を利用すると、パスポート(冊子またはスマホWEB表示)を提示するだけでお得なサービスが受けられます。老舗レストランやフルーツパーラー、和菓子屋さんなど日本橋の主だったお店が参加しているので、これはなかなかいいかも。日本橋きものパスポートの利用期間は2022年3月31日(木)まで。涼しくなってからのんびり訪ねるのも悪くないですね。参加店に置いてあるパスポートを現地で調達するかWEBで手に入れて利用してください。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第8回 竺仙のゆかた ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 《 今月のワンポイント:うそつき 》   夏はできるだけ薄着にしたいので長襦袢の代わりに「うそつき」を着ます。うそつきだなんて面白い名前だなぁと思いますが、これは長襦袢と肌着が合体したもので、木綿の肌襦袢に半衿と付け外しのできる袖が付いていて、上からきものを着ると長襦袢を着ているように見えるのです。だからうそつき。洗濯機でジャブジャブ洗えるのも便利で、夏のきものの必需品です。   更新日:2021年7月7日(水) 『大人の嗜み 〜きもの美を知る〜』についてご意見・ご感想をお聞かせ下さい。 ★このコラムに対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。下記フォームより必要事項をご記入して頂き送信して頂いた方の中から抽選で10名様に『有松絞りの手拭い』をプレゼント!! ★プレゼント応募〆切は7/31(土)12:00まで※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。(色は選べません) [[aform017]]

  • VOL.19 鶏むね肉のふんわり揚げ

    ● VOL.19 ● 鶏むね肉のふんわり揚げ    今回ご紹介するのは、料理教室で大人気の一品。鶏むね肉、豆腐で作る揚げつくねです。ヘルシーで高タンパク。噛んだ時に感じる、鶏むね肉の弾力、豆腐のふわっとした感じ、にんじんのコリコリとした食感。いろいろが楽しいです。今回は鶏胸肉を細かく叩いていますが、めんどうな場合はひき肉を使ってください。お好きな食材を入れてアレンジもできます。揚げるのはちょっと・・という方は、多めの油で焼いても大丈夫です。揚げたてはもちろん、冷めても美味しいです。お値段控えめなところも主婦にうれしい一品。ぜひ作ってみてくださいね。 【材料】(25個くらい)木綿豆腐.................................... 1丁(300g) 鶏むね肉..................................... 300gにんじん................................. 1/3本(70gくらい) 青ジソ.................................... 3〜4枚 塩.......................................... 小さじ1/2 醤油....................................... 小さじ1 片栗粉.................................... 大さじ2 揚げ油 ■ 作り方 ■     1. 豆腐をペーパーに包み、30分くらい置いておく。 2. にんじんはみじん切り。青ジソは千切りにする。 3. 鶏むね肉を包丁で細かく切る。 4. ボウルに、手でくずした豆腐、鶏肉、にんじん、青ジソを入れ、よく混ぜる。塩、醤油を加えて混ぜる。片栗粉も加え、よく混ぜる。 5. スプーン2本で丸める。 6. フライパンに1cmくらい油を入れて熱し、こんがり揚げる。 7. 皿に盛り付け、お好みでごま油を加えた醤油をつけていただく。 <<< ● VOL.18 ● 季節野菜の具だくさんスープ  ■■  P R O F I L E  ■■  自宅料理教室「チアフルキッチン」主宰にんべん だしアンバサダー柏木京子(かしわぎ きょうこ) 出産時に生死の境をさまよった経験から「食の大切さ」を実感、自宅などで料理教室を始める。夫がアメリカ西海岸に転勤になった2011年からSkypeによるオンライン料理教室を開始。帰国後は「いまさら聞けない料理の基礎」など主婦の悩みに応えるテーマのレッスンを次々企画、人気を博す。オンライン教室はのべ1,000人以上が参加。自宅での料理教室もリピーターが多い。   更新日:2021年7月7日(水)

  • VOL.18 季節野菜の具だくさんスープ

    ● VOL.18 ● 季節野菜の具だくさんスープ    蒸し暑い梅雨の季節。気圧差、温度差などで自律神経が乱れ、だるい、やる気がでないなど不調を感じやすくなります。そんな時はバランスの良い食事をとるのが一番。温かいスープがおすすめです。温かい物を食べると体の緊張が緩まり、リラックスしてきます。野菜がたくさん入っているので、ビタミン・ミネラルが豊富。免疫力アップも期待できます。今回は重ね煮の方法を取り入れ、野菜本来の力を引き出しました。毎日食べたい野菜たっぷりのスープ。美味しく食べて、梅雨を乗り切りましょう。 【材料】(2人分)☆新玉ねぎ...........................1/2個 ☆にんじん...........................1/2本 ☆新じゃが...........................中1個 ☆キャベツ...........................1/8個分 ☆ベーコン...........................4〜5枚 ☆プチトマト........................6個 ☆アスパラガス.....................2本☆にんにく...........................1/2かけ(みじん切り) ☆酒....................................大さじ1 水.......................................500〜600cc 塩.......................................小さじ1  こしょう..............................少々 お好みのハーブ(オレガノ、ローズマリー、タイム、ローリエなど) オリーブオイル.....................大さじ1 お好みで粉チーズ ■ 作り方 ■     1. にんにくはみじん切り。他の全ての野菜、ベーコンを5mm〜1cmに切る。 2. 鍋にオイルを熱し、にんにく、玉ねぎ、塩ひとつまみを入れて炒める。玉ねぎがしんなりしてきたら、じゃがいも、にんじん、ベーコンを順番に重ねて入れる。酒、水1カップを加えて蓋をする。火は中火。 3. 蓋と鍋の間から蒸気が出ていい香りがしてきたら火を少し弱め、5分煮る。蓋を開けて全体を軽く混ぜ、にんじんが柔らかくなるまで煮る。 4. 残りの水、キャベツ、プチトマト、塩を加え、蓋をして煮る。3分〜5分煮たら全体を混ぜる。 5. アスパラガス、ハーブを加えて約1分煮る。味見をして、塩、コショウ少々で味を整える。 6. 器に盛り、お好みで粉チーズをふる。 <<< ● VOL.17 ● 薬味たっぷりで食べる初鰹  ■■  P R O F I L E  ■■  自宅料理教室「チアフルキッチン」主宰にんべん だしアンバサダー柏木京子(かしわぎ きょうこ) 出産時に生死の境をさまよった経験から「食の大切さ」を実感、自宅などで料理教室を始める。夫がアメリカ西海岸に転勤になった2011年からSkypeによるオンライン料理教室を開始。帰国後は「いまさら聞けない料理の基礎」など主婦の悩みに応えるテーマのレッスンを次々企画、人気を博す。オンライン教室はのべ1,000人以上が参加。自宅での料理教室もリピーターが多い。   更新日:2021年6月2日(水)

  • 第8回 竺仙のゆかた

     花火大会や夏祭りといえば、若い女の子はこぞってゆかたを着ます。普段と違う女性らしさをボーイフレンドにアピールしたり、友だち同士で盛り上がったり、女の子たちは実に生き生きと楽しそうです。でも大人の女性はどうでしょう。ゆかたを着る機会は意外と少ないのではないでしょうか。大人が涼しげにゆかたを着る姿は素敵なものです。今までゆかたと縁がなかった方も、この夏はぜひ大人のゆかたに挑戦してみませんか。 ■■ 第8回 竺仙のゆかた ■■  創業天保13年(1842年)、ゆかたといえば「竺仙」というほど有名な日本橋の老舗です。創業当時から現在に至るまで、企画・生産・販売を一貫して行い、江戸染ゆかたの独特の技術を活かし、ゆかたから江戸小紋へと世間に名を馳せ、歌舞伎の世界にも登場したという竺仙。時代を超えた奥行きの深さ、伝統的でありながら洗練された豊富な柄が、多くのファンを引きつける魅力です。「ゆかたも今や夏きもの」という5代目当主の言葉にもあるように、和服というだけで注目されるこの頃。まずは素敵なゆかたを選ぶことから始めてはいかがでしょうか。 竺仙の魅力は染めの種類の豊富さ (左)大胆な柄が目を惹く竺仙紬ゆかた「万寿菊の柄」と麻織八寸帯(右)店主おすすめの新作・奥州小紋「松の柄」と麻兵児帯    ひと口にゆかたといっても生地の種類や染め方により様々。竺仙のゆかたアイテムは、コーマ白地、地染・コーマローケツ・コーマ玉むし・紬ゆかた・綿芭蕉玉むし・紅梅小紋・奥州小紋・縮小紋中形・絽小紋中形・絹紅梅小紋・麻小紋・絽長板・縮長板等50アイテム、約1000柄にも上ります。染め方は、長板中形、注染、引き染、先染、ローケツ染、しごき染、まぼろしの染めといわれるリバーシブルの染色法があり、それぞれの特徴を活かした魅力的な柄が染められます。 大人が着るから素敵なゆかた  上の写真は紫陽花を染め上げた奥州小紋。大人の女性の魅力を引き出す1枚です。原案である竺仙の紫陽花の柄を日本画家・宮下真理子氏にアレンジし描いてもらったという創作柄。細かいタッチで葉脈まで丁寧に描かれていて優しい雰囲気が魅力です。またグッと大人っぽい下の2点は、大胆な柄が目を惹く竺仙紬ゆかた「万寿菊の柄」と麻織八寸帯(左)と、紫陽花と同じく宮下真理子氏による奥州小紋「松の柄」と麻兵児帯。こんなゆかたを纏ったら気持ちもグッと上がりそうですね。 ゆかたで過ごす夏の宵 長引くコロナ禍で、夜のお出かけが少なくなった今、自宅で食事をする人が増えています。必然的に家飲みも増えますね。そんな夫婦の時間をたまには2人揃ってゆかたで過ごしてみてはいかがでしょうか。居ながらにしてお出かけ気分が味わえるし、普段と違う姿にお互いを惚れ直すかも。ゆかたはそんな新鮮さを運んでくれます。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第7回 小千谷縮 ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 《 今月のワンポイント:パナマ 》   夏の素材というのは清々しくていいものです。着物でいえば、麻が肌に触れた時のひんやりした感触は気持ちいいし、綿紅梅、絹紅梅も爽やかです。夏の着物を粋に決めたいなら、足元はパナマ。パナマ帽と同じパナマで、原料は中米産のヤシに似た多年草。さらっとした履き心地は最高です。ただし、こちらはあくまでお洒落用。紬と同じく高価でもカジュアルなので、履いていく場所は選びます。   更新日:2021年6月2日(水) 『大人の嗜み 〜きもの美を知る〜』についてご意見・ご感想をお聞かせ下さい。 ★このコラムに対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。下記フォームより必要事項をご記入して頂き送信して頂いた方の中から抽選で10名様に『有松絞りの手拭い』をプレゼント!! ★プレゼント応募〆切は6/30(水)12:00まで※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。(色は選べません) [[aform017]]

  • 第7回 小千谷縮

     暑きものを着るのにちょうどいい季節になりました。でも暮春とも初夏とも言えるこの時季は、着るものに迷う時でもあります。一般的に5月は袷(あわせ)といわれていますが、日によっては25度を越すような夏日もあります。そんな日に袷は厳しいですね。お茶席など特別な場合は別として、個人で楽しむならしきたりに縛られる必要はないというのが最近の考え方です。単衣や紗合わせなど、その日の気温や体感に合わせて臨機応変なお洒落を楽しみましょう。今月は一足早く夏のきもの「小千谷縮」を取り上げます。 ■■ 第7回 小千谷縮 ■■  新潟県小千谷市周辺では古来より苧麻(ちょま)という上質の麻を原料とした麻織物が織られていました。江戸時代初期に、それまでの越後麻布に改良を加えて完成したものが小千谷縮です。さらっとして肌に張り付かない爽やかな着心地の秘密は、緯糸に強い撚りをかけ織り上げた後に湯もみを行うことで出る独特のしぼ。その独特の風合いが高い評価を得て、昭和30年に国の重要無形文化財に指定されました。また、小千谷縮は平成21年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。  春の風物詩「雪さらし」は、小千谷縮の指定工程の1つ。雪と紫外線の作用により発生したオゾンが麻布に含まれる色素を分解・漂白することで、白が強調され鮮やかになります。新品だけでなく、着た後のきものも雪さらしをすることで汗ジミや汚れが落ちてさっぱりするのです。この効果は麻布の特徴で、約800年前から行われているそうです。自然の力ってすごいですね。 手入れが簡単なのが1番の魅力    真夏のきものは、当然ながら暑いものです。それを、汗もかかずに涼しい顔で着るのが夏きもののダンディズムというものですが、本音を言えばできるだけ涼しく着たい。その点、小千谷縮は麻ですから素材としてその条件をクリアしています。「麻はシワになるから」と敬遠される方もいますが、多少のシワは味のうち。絹でも木綿でも座ればシワになります。また、麻のきものの良いところは、家でザブザブ洗濯ができてすぐ乾くこと。ネットに入れて洗濯機で洗った後、着物用ハンガーにかけてパンパンと叩いておくだけで、シワがピント伸びてアイロンがいらないのも魅力です。着る度に洗えるのは気持ちがいいですね。 きものとして、浴衣として 小千谷縮は、「きもの」としても「ゆかた」としても着ることができます。襦袢を着て半襟を出して夏帯を締めればきものになりますし、襦袢を着ないで半幅帯を締めればゆかたのように着こなすことができます。きものとして着る場合も、半襟や帯などの素材次第で単衣としても薄物としても着ることができるので、6月から9月まで色々な着方で楽しめます。そういう意味では、1枚で何役もこなしてくれると便利なきものといえますね。 買いやすい値段もうれしい 小千谷縮はお値段が安いのも魅力。繊細な手仕事による重要無形文化財の小千谷縮は別として、一般に流通している小千谷縮は5万円前後です。これなら手が出しやすいですね。「きものの着付けはできないけどゆかたなら大丈夫」という方にも、大人のゆかたとしておすすめです。木綿より上等な雰囲気になりますし、肌に張り付く木綿より麻の方が遥かに気持ちが良くて快適です。ただ麻は透け感があるので和装の下着は必要です。というわけでいいこと尽くしの小千谷縮。この夏ゆかたの購入を考えている方はぜひ検討してみてはいかがですか。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第6回 大島紬 ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 《 今月のワンポイント:草木染め 》   草木染めのきものも魅力的ですね。草木染めは通常、染料となる植物を煮出した液に灰などを加えて媒染して色を出しますが、クサギ(臭木)は媒染なしで鮮やかな水色に染まります。夏に白い花を咲かせ、秋になると赤いガクに宝石のような瑠璃色の実をつけるクサギ。この実の色からは想像もできないほど爽やかなブルーを生み出すのです。クサギという可哀想な名前は、葉に独特の悪臭がすることから付けられたそうです。   更新日:2021年5月12日(水) 『大人の嗜み 〜きもの美を知る〜』についてご意見・ご感想をお聞かせ下さい。 ★このコラムに対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。下記フォームより必要事項をご記入して頂き送信して頂いた方の中から抽選で10名様に『有松絞りの手拭い』をプレゼント!! ★プレゼント応募〆切は5/28(金)12:00まで※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。(色は選べません) [[aform017]]

  • VOL.17 薬味たっぷりで食べる初鰹

    ● VOL.17 ● 薬味たっぷりで食べる初鰹    5月に美味しい魚といえばカツオ。春のカツオは「初鰹」と呼ばれ、さっぱりしているのが特徴です。たっぷりの薬味をのせてポン酢をかけるのがおすすめ。今回は便利に使える薬味をご紹介します。3〜4日保存が効くので、たっぷり作って色々に合わせてみてください。自家製ポン酢にはレモンの皮を加えて爽やかさをプラスしました。買ってきたポン酢も、お好みの柑橘類をプラスするとさらに美味しくいただけます。カツオはビタミンBや鉄分が豊富。初鰹、ぜひこの季節に召し上がってくださいね。お酒の肴にもバッチリです。 【材料】(3〜4人分)かつおの刺身(柵)............... 400gくらい(今回はお店で皮を焼いたもの)かいわれ.............................. 1パックみょうが.............................. 3本 新しょうが........................... 1かけ青じそ................................. 10枚 自家製ポン酢 ☆出汁(濃いめ)..................50ml ☆みりん.............................. 大さじ1 ☆醤油(濃口)..................... 50ml ☆砂糖................................. 小さじ1 ☆米酢................................. 小さじ1 ☆「レモンの絞り汁...............1/2個分 ☆レモンの皮のすりおろし...... 適宜 ■ 作り方 ■     1. 自家製ポン酢を作る。レモンの皮の黄色い部分だけをすりおろす(白いワタは苦くなる)。 2. 出汁、みりんを耐熱皿に入れ、600Wで1分加熱する。そこへ残りの☆の調味料を加える。 3. 薬味を全て細かく切る。 4. 水に放してゆっくり3回混ぜ、ザルに上げて水気を切る。キッチンペーパーで水気をよく拭き取る。 5. よく冷やしたかつおのたたきを厚めに切り、たっぷりの薬味と一緒に盛り付ける。 6. 自家製ポン酢をたっぷりかけていただく。 7. 残った薬味は翌日、冷奴やお味噌汁、サラダのトッピングなどに。 <<< ● VOL.16 ● たけのこと豚肉の香り炒め  ■■  P R O F I L E  ■■  自宅料理教室「チアフルキッチン」主宰にんべん だしアンバサダー柏木京子(かしわぎ きょうこ) 出産時に生死の境をさまよった経験から「食の大切さ」を実感、自宅などで料理教室を始める。夫がアメリカ西海岸に転勤になった2011年からSkypeによるオンライン料理教室を開始。帰国後は「いまさら聞けない料理の基礎」など主婦の悩みに応えるテーマのレッスンを次々企画、人気を博す。オンライン教室はのべ1,000人以上が参加。自宅での料理教室もリピーターが多い。   更新日:2021年5月12日(水)

  • 第6回 大島紬

     暑くも寒くもない、気持ちのいい季節になりました。街を歩くとあちらこちらで春の花々や若葉が目に入り、春のエネルギーを浴びて元気になる気がします。きものを着てお出かけするにも良い季節ですね。さて、外国人にも人気のきもの。一般には派手な色柄の方が外国人には好まれると思われていますが、フランス人の友人たちが「なんてシックなきものなんだ!」と褒めてくれたのは、どれも無地に近い落ち着いた色合いの紬でした。今月はそんなきものの1つ、大島紬を取り上げます。 ■■ 第6回 大島紬 ■■  きものに詳しくない方でも「大島紬」の名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。日本三大紬の1つで、きものの女王ともいわれる大島紬。手で紡いだ絹糸を泥染めし、手織りした平織りの着物で、奄美群島の伝統工芸品。本場大島紬は、タテ・ヨコの絣をカスリ合わせて織り上げますが、独特の絣模様は繊細かつ鮮やかで、鉄分を多く含むため虫食いが起きにくいという特徴があります。  奄美大島では、古くから養蚕と織物が盛んに行われていました。天智天皇の頃にはテーチ木(車輪梅)染が始められたとされ、東大寺正倉院の宝物帳にも「南島から褐色紬が献上された」と記されています。大島紬が真綿からの手紡ぎ色から今のように光沢のあるしなやかな糸になったのは明治中期のこと。この頃にいざり機から高機に変わり生産性が向上、高級織物として広く知られるようになりました。  大島紬は鹿児島と奄美大島で織られていますが、泥染めに使う泥は奄美大島にしかありません。そのため泥染めにはすべて奄美大島の泥が使われます。その泥染めに欠かせないのが車輪梅。車輪梅のことを沖縄地方の方言でテーチ木、またはティカチといいます。独特の深い黒は、このテーチ木で何十回も染めた後に泥染めすることで生まれるのです。 泥染めに欠かせないテーチ木(車輪梅)    大島紬ができるまでには30〜40の工程があります。その1つひとつを見るだけでも大変な作業だということが伝わって来ます。絣を作る柄締めのための糸は、12〜16本の糸がまとめて糊付けします。細かく切ったテーチ木は何時間も煮出し、図案に基づいて糸がくくられます。どの工程を見ても、それはもう考えただけで手のかかる作業で、このすべての工程が人の手で行われていることを思うと、大島紬の社会的地位の高さにも納得してしまいます。 図案通りに糸くくりをして染めます    大島紬の美しさは、細かな点と点を合わせて作る絣の美しさです。島の自然の動植物や道具、風土に根ざした伝統的な文様など様々。値段はピンキリですが、目が飛び出るほど高級なものであってもフォーマルな場所には来て行けないのが紬の運命。もっとも、最近では披露宴など格式の高い場以外のパーティーには着て行ってもよいという人も多くなりました。きものの格式をあまり厳格に守ろうとすると、敷居が高くなり着る人が余計に減ってしまいます。きもの文化を守るためにも、明らかに場違いなものは別として、あまり厳格にしない方がいいという気がします。とはいえ、紬は柄ゆきが普段着っぽいものが多いですね。パーティーにふさわしいかどうかは柄にもよるのです。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第5回 結城紬 ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 《 今月のワンポイント:履物 》   きものの足元といえば草履。草履にはフォーマルとカジュアルがあり、見た目がまったく違います。正式な場所の草履は裂地かエナメルで色は金・銀・白。かかとの高さは5〜6センチで、高ければ高いほどフォーマルだといわれています。一方、紬や小紋、綿や麻のきものに合わせるのはカジュアルな草履。こちらは素材も様々で、雨に強いウレタン素材・畳表やパナマの台にお洒落な柄の鼻緒で遊びの要素がいっぱいです。意外と目立つ足元。ステキな草履で足取り軽く歩きたいですね。   更新日:2021年4月7日(水)

  • VOL.16 たけのこと豚肉の香り炒め

    ● VOL.16 ● たけのこと豚肉の香り炒め    春の訪れと同時に旬を迎えるたけのこ。たっぷりのお湯と米糠で湯がいて味わう山の恵みです。豊かな風味と甘さ、シャキシャキの食感はこの時期にしか味わえない格別な味! 下茹でからは大変そうという方は、お店で茹でたたけのこを使うのがお勧め。一年中売っているパックの水煮とは別物の美味しさです。今回はシャキシャキの食感を味わいたくて、たけのこを大きめに切りました。しっかり焼き色がつくまで焼き、香ばしさを加えましょう。木の芽を添えて、旬の美味しさをたっぷり味わってくださいね。 【材料】(4人分)豚肉 .............................. 200g 塩 .......................................... 小さじ1/4たけのこ .............................. 200g絹さや .............................. 20枚くらい オイル .............................. 小さじ2醤油 .............................. 小さじ2 みりん .............................. 小さじ2木の芽 .............................. 5〜6枚 ■ 作り方 ■     1. 豚肉は食べやすい大きさに切り、分量の塩をふる。 2. たけのこは4〜5cm、厚さ7mmくらいと、少し大きめに切る。 3. 絹さやは筋をとり、半分に切る。 4. フライパンにオイルを入れて豚肉を炒め、こんがり焦げ目をつける。皿に取り出す。 5. そのままのフライパンにオイルを入れ、たけのこに焦げ目をつけるように焼く。 4.の豚肉、絹さやを入れて炒め、調味料を加えて全体にからめる。 7. 皿に盛り付け、木の芽を添える。 <<< ● VOL.15 ● ねぎじゃこ  ■■  P R O F I L E  ■■  自宅料理教室「チアフルキッチン」主宰にんべん だしアンバサダー柏木京子(かしわぎ きょうこ) 出産時に生死の境をさまよった経験から「食の大切さ」を実感、自宅などで料理教室を始める。夫がアメリカ西海岸に転勤になった2011年からSkypeによるオンライン料理教室を開始。帰国後は「いまさら聞けない料理の基礎」など主婦の悩みに応えるテーマのレッスンを次々企画、人気を博す。オンライン教室はのべ1,000人以上が参加。自宅での料理教室もリピーターが多い。   更新日:2021年4月7日(水)

  • 第5回 結城紬

     すっかり春めいてきたこの頃。今年はサクラも早そうだという話を聞きました。そういえば、去年は満開のサクラの頃に大雪が降ったのを思い出します。滅多に見られない美しい風景に心を奪われて、窓の外を飽きずに眺めていました。東京で雪が降るのは春が近づいてからが多いので、今年もそんな景色が見られるかもしれません。 さて、きものは大きく分けて硬いきもの(織り/紬)と柔らかいきもの(染め)の2つがあります。今回は紬の中で最も古い絹織物という結城紬を取り上げます。 ■■ 第5回 結城紬 ■■  日本三大紬といえば、「結城紬」、「大島紬」、3番目は諸説あって「牛首紬」、「塩沢紬」、「上田紬」などが挙げられます。中でもきもの好きの憧れの1つが結城紬。茨城県結城市で織られる結城紬の歴史は古く、奈良時代にまで遡ります。当時、常陸国の特産物として朝廷に上納された布(あしぎぬ)は紬の原型とされ、奈良・正倉院に保管されています。室町時代になると結城家から幕府・関東官領へも献上されたことから「結城紬」と名を変えました。以後長年にわたり成長してきた結城紬は、昭和31年に国の「重要無形文化財」に、昭和52年には「伝統的工芸品」に指定されています。 ■■結城紬の魅力は真綿紬の風合い  結城は繭から手紡ぎした撚りのかからない無撚糸で織られます。重要無形文化財の指定要件はこれに加え、絣模様をつける場合は手くびりによること、地機(いざり機)という最も原始的な織機で織ること、とされています。糸をくくって絣模様を作る「絣くくり」は、最も単純とされる80亀甲(反物の幅に80個の亀甲模様が入る)で160ヶ所、最高の細かさである200亀甲では約400ヶ所にもなります。1反にかかる絣くくりは数ヶ月にも上る場合もあり、手が変わるとくくる強さが変わるため、最初から最後まで1人の職人さんが行います。結城に行くと機屋さんを見学することができますが、奥順という有名な機屋さんで今はもう作ることができないという店の宝を見せてもらったことがあります。それは細かい亀甲が並んだ美しい反物でした。 ■■ きもの1枚に帯3本  結城紬は柔らかくて軽いといわれますが、新しいものは印象ほど柔らかくはないのです。というのも、3代にわたって洗い張りを繰り返して、水をくぐるほどに着心地が良くなっていくので、昔は「下ろし立ては女中さんに着せろ」といわれたほど。その感覚はちょっとジーンズに似ていますね。  上の画像は無地の結城紬です。ひと足早くサクラの帯を合わせてみました。きものが面白いのは、季節をそのまま表現できるところ。自分がサクラに同化したかのように、帯揚げにも薄いピンクをあしらい、帯締めも緑からピンクの暈しを合わせます。こんな風に、季節そのままの格好をするのは洋服ではあまりしないこと。きものならではの楽しみです。日本文化は季節感を大切にするので、きものにもそういう感覚が反映されるのです。サクラの柄は散るまでの数週間使うことができますが、きもの通の人の中には、節分、桃の節句、七夕といった、年中行事のたった1日だけのための帯や帯留めを用意する人もいます。そういう贅沢も、きものの楽しさのひとつといえます。  同じきものに南風原の花織の帯を合わせてみました。きもの1枚に帯3本といわれるように、帯を変えるとまた違う雰囲気になります。春はもうすぐそこ。みなさんもきものでお出かけしてみてはいかがですか。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第4回 本場黄八丈と久米島紬 ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 《 今月のワンポイント:長襦袢 》   きものの下に着る長襦袢は密かなお洒落です。関東では友禅などの華やかなきものより無地やシックな色合いが好まれますが、その分長襦袢で遊びます。袖口や袂からこぼれる色や柄に着る人のセンスを感じてハッとすることがあります。ちなみに、襦袢はポルトガル語のジバン(袖の広い上着)が語源とのこと。16世紀頃南蛮人によってもたらされたそうです。意外ですね。そういえば祖母は「長ジバン」と言っていましたが、それが正しい発音だったということですね。   更新日:2021年3月3日(水) 『大人の嗜み 〜きもの美を知る〜』についてご意見・ご感想をお聞かせ下さい。 ★このコラムに対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。下記フォームより必要事項をご記入して頂き送信して頂いた方の中から抽選で10名様に『有松絞りの手拭い』をプレゼント!! ★プレゼント応募〆切は3/24(水)12:00まで※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。(色は選べません) [[aform017]]

  • 第10回 初めてのきもの

    ■■ 第10回 初めてのきもの ■■ 祖母が裁縫に使っていた絹糸 ■■着付もできないのに買った単衣  同居していた祖母は、きもので生活していました。私が小学生くらいまでは、朝起きたときにはすでに着替えてお行儀よく座っていたので、祖母の寝間着姿を見たことがないくらいでした。紺地や深緑の地の地味なきものに半幅帯を貝の口に結ぶのが定番でしたが、あれはどんなきものだったのだろう。祖母はきものの仕立てができたので、お小遣い稼ぎに知人のきものを縫ったり、母のために縫ったり、時には私や妹のために縫ったりと、いつでもお裁縫をしていました。きもの好きの母は、お出かけというと和装。入学式や卒業式はもちろん、授業参観日もきものでしたが、当時はそういうお母さんがクラスの中に10人くらいはいたのです。  そんなわけで、きものに馴染みのある生活をしてはいましたが、かといって大人になってから自分で着るようになったかというとまったくそうではなく、成人式で振袖を着て以来、40代半ばまではきものと無縁の生活をしていました。それが突然目覚めたのは、たまたま知人の染色家の個展でインドシルクを染めた生地で作ったきものを見たからです。彼女は普段は同じ生地で洋服を作っているのですが、その時は初の試みできものを作って着ていて、それを見たときカジュアルでいいなぁ、こんなきものなら着てみたいなぁと思ったのです。それで、着付もできないのに、紫の単衣とそれに合う帯を買いました。それが自分で買った初めてのきものでした。  せっかくきものと帯を買ったのに、着付を習ったのはそれから2年ほど経ってから。ある時、着付教室の広告を見つけ、近所の友人を誘って教室に通い始めたのです。着付ができるようになると世界が広がります。一緒に習った友人がきもの仲間になり、用もないのに着てみたり、きもので出かけたり、きもの談義をしたりと、きものの楽しさにハマっていきました。そのうち着付けも15分か20分でできるようになり、洋服とあまり変わらない感覚で気楽に着られるようになりました。そんなこんなで、ようやくきものが生活に入ってきて、いざという時は和服という選択ができるようになったのです。いつか年をとったときに、祖母のようにゆるゆると楽に着られるようになっていたらいいなぁというのが今の目標です。 ■■ 和服のときに持つバッグ  きものや浴衣を着るとき、小物のすべてを揃えようとすると、お財布もしまう場所も大変です。いかにも和装用というのは野暮ったい気もするし、第一モノが入らないのは困ります。私たちが普段バッグに入れて持ち歩くものは、財布、スマホ、ハンカチとティッシュ、メガネケースや化粧ポーチなど結構たくさんあります。小ぶりのきもの用バッグと布のトートバッグを併せて持ち歩くのをよく見かけますが、あれはどうもスマートじゃなくて好きではないのです。そんなことをするくらいなら、大きめの普通のバッグを1つ持った方がカッコイイ。そんなことも含めて、私は洋服のときに持つバッグをそのまま和服でも持つようにしています。もちろんショルダーバッグはNGですが、ハンドバッグであれば大きくても小さくても構わないと思います。浴衣に合わせるなら、やっぱり涼しげな籠がいいですね。山葡萄の籠は洋服でも浴衣でも使えるお気に入り。物がたっぷり入るところも便利です。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第9回 夏きもので日本橋へ ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 更新日:2021年8月4日(水) 『大人の嗜み』についてご意見・ご感想をお聞かせ下さい。 ★このコラムに対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。下記フォームより必要事項をご記入して頂き送信して頂いた方の中から抽選で10名様に『有松絞りの手拭い』をプレゼント!! ★プレゼント応募〆切は8/31(火)12:00まで※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。(色は選べません) [[aform017]]

  • 第9回 夏きもので日本橋へ

    ■■ 第9回 夏きもので日本橋へ ■■ 夏のきものほど素敵なものはない      夏のきものは涼しげで素敵です。蝉の羽のように透けた素材や、ざっくりと織られた帯地など、日本の染織の個性的な素材感がひときわ目立つような気がします。真夏の暑い日にきものを着て、汗ひとつかかずに佇んでいる女性を見ると、憧れと尊敬の念を禁じえません。だって、見た目には涼しい夏のきもの、着る者にとっては死ぬほど暑いのですから。冷房が効いた部屋ばかりならいいのですが、移動で外を歩く時などは汗だくになってしまいます。特に最近の夏の暑さは尋常ではありませんから、この季節にきものを着るには相当なやせ我慢が必要なのです。その心意気も含めて、夏きものはやっぱり"粋"なのです。カッコイイのです。根性のない私は、お気に入りの琉球絣がもう何年もタンスの肥やし。今年こそ頑張って着てみようかなぁと思っています。 ■■ ゆかたの下着 ゆかたのいいところは長襦袢がいらず1枚で着られること。とはいえ、いざ着る時に意外と大事な下着問題。ゆかたの下に何を着たらいいのかわからない人も多いようです。ゆかたは元々お風呂上りに着る寝巻きのようなもの。外出することは前提ではなく素肌の上に直接着るものでした。でも、今は立派な外出着。生地によっては透けるものもあるので流石に下着は必要です。きもの用のスリップ式の下着なら胸元も足元もカバーするので安心ですが、「そんなの持ってない」というなら、タンクトップとキャミソールでも十分代用できます。要するに、袖口や裾から素肌が露出しなければいいのです。因みにブラとショーツは普段のもので大丈夫。生地によっても透け感が違うので、透けない色を選ぶことは大事ですね。なるべく涼しく着られるように、それぞれが工夫すればいいと思います。 ■■ きもので得する「日本橋きものパスポート」  さて、この夏きものやゆかたでお出かけするなら断然日本橋が面白そうです。2021年4月3日で日本橋が開橋110年を迎えたのを記念して、日本橋・人形町にきものやゆかたで行くと色んな特典が受けられる「日本橋きものパスポート」が使えるからです。この企画には60店鋪が参加、きものまたはゆかたで対象店舗を利用すると、パスポート(冊子またはスマホWEB表示)を提示するだけでお得なサービスが受けられます。老舗レストランやフルーツパーラー、和菓子屋さんなど日本橋の主だったお店が参加しているので、これはなかなかいいかも。日本橋きものパスポートの利用期間は2022年3月31日(木)まで。涼しくなってからのんびり訪ねるのも悪くないですね。参加店に置いてあるパスポートを現地で調達するかWEBで手に入れて利用してください。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第8回 竺仙のゆかた ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 《 今月のワンポイント:うそつき 》   夏はできるだけ薄着にしたいので長襦袢の代わりに「うそつき」を着ます。うそつきだなんて面白い名前だなぁと思いますが、これは長襦袢と肌着が合体したもので、木綿の肌襦袢に半衿と付け外しのできる袖が付いていて、上からきものを着ると長襦袢を着ているように見えるのです。だからうそつき。洗濯機でジャブジャブ洗えるのも便利で、夏のきものの必需品です。   更新日:2021年7月7日(水) 『大人の嗜み 〜きもの美を知る〜』についてご意見・ご感想をお聞かせ下さい。 ★このコラムに対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。下記フォームより必要事項をご記入して頂き送信して頂いた方の中から抽選で10名様に『有松絞りの手拭い』をプレゼント!! ★プレゼント応募〆切は7/31(土)12:00まで※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。(色は選べません) [[aform017]]

  • VOL.19 鶏むね肉のふんわり揚げ

    ● VOL.19 ● 鶏むね肉のふんわり揚げ    今回ご紹介するのは、料理教室で大人気の一品。鶏むね肉、豆腐で作る揚げつくねです。ヘルシーで高タンパク。噛んだ時に感じる、鶏むね肉の弾力、豆腐のふわっとした感じ、にんじんのコリコリとした食感。いろいろが楽しいです。今回は鶏胸肉を細かく叩いていますが、めんどうな場合はひき肉を使ってください。お好きな食材を入れてアレンジもできます。揚げるのはちょっと・・という方は、多めの油で焼いても大丈夫です。揚げたてはもちろん、冷めても美味しいです。お値段控えめなところも主婦にうれしい一品。ぜひ作ってみてくださいね。 【材料】(25個くらい)木綿豆腐.................................... 1丁(300g) 鶏むね肉..................................... 300gにんじん................................. 1/3本(70gくらい) 青ジソ.................................... 3〜4枚 塩.......................................... 小さじ1/2 醤油....................................... 小さじ1 片栗粉.................................... 大さじ2 揚げ油 ■ 作り方 ■     1. 豆腐をペーパーに包み、30分くらい置いておく。 2. にんじんはみじん切り。青ジソは千切りにする。 3. 鶏むね肉を包丁で細かく切る。 4. ボウルに、手でくずした豆腐、鶏肉、にんじん、青ジソを入れ、よく混ぜる。塩、醤油を加えて混ぜる。片栗粉も加え、よく混ぜる。 5. スプーン2本で丸める。 6. フライパンに1cmくらい油を入れて熱し、こんがり揚げる。 7. 皿に盛り付け、お好みでごま油を加えた醤油をつけていただく。 <<< ● VOL.18 ● 季節野菜の具だくさんスープ  ■■  P R O F I L E  ■■  自宅料理教室「チアフルキッチン」主宰にんべん だしアンバサダー柏木京子(かしわぎ きょうこ) 出産時に生死の境をさまよった経験から「食の大切さ」を実感、自宅などで料理教室を始める。夫がアメリカ西海岸に転勤になった2011年からSkypeによるオンライン料理教室を開始。帰国後は「いまさら聞けない料理の基礎」など主婦の悩みに応えるテーマのレッスンを次々企画、人気を博す。オンライン教室はのべ1,000人以上が参加。自宅での料理教室もリピーターが多い。   更新日:2021年7月7日(水)

  • VOL.18 季節野菜の具だくさんスープ

    ● VOL.18 ● 季節野菜の具だくさんスープ    蒸し暑い梅雨の季節。気圧差、温度差などで自律神経が乱れ、だるい、やる気がでないなど不調を感じやすくなります。そんな時はバランスの良い食事をとるのが一番。温かいスープがおすすめです。温かい物を食べると体の緊張が緩まり、リラックスしてきます。野菜がたくさん入っているので、ビタミン・ミネラルが豊富。免疫力アップも期待できます。今回は重ね煮の方法を取り入れ、野菜本来の力を引き出しました。毎日食べたい野菜たっぷりのスープ。美味しく食べて、梅雨を乗り切りましょう。 【材料】(2人分)☆新玉ねぎ...........................1/2個 ☆にんじん...........................1/2本 ☆新じゃが...........................中1個 ☆キャベツ...........................1/8個分 ☆ベーコン...........................4〜5枚 ☆プチトマト........................6個 ☆アスパラガス.....................2本☆にんにく...........................1/2かけ(みじん切り) ☆酒....................................大さじ1 水.......................................500〜600cc 塩.......................................小さじ1  こしょう..............................少々 お好みのハーブ(オレガノ、ローズマリー、タイム、ローリエなど) オリーブオイル.....................大さじ1 お好みで粉チーズ ■ 作り方 ■     1. にんにくはみじん切り。他の全ての野菜、ベーコンを5mm〜1cmに切る。 2. 鍋にオイルを熱し、にんにく、玉ねぎ、塩ひとつまみを入れて炒める。玉ねぎがしんなりしてきたら、じゃがいも、にんじん、ベーコンを順番に重ねて入れる。酒、水1カップを加えて蓋をする。火は中火。 3. 蓋と鍋の間から蒸気が出ていい香りがしてきたら火を少し弱め、5分煮る。蓋を開けて全体を軽く混ぜ、にんじんが柔らかくなるまで煮る。 4. 残りの水、キャベツ、プチトマト、塩を加え、蓋をして煮る。3分〜5分煮たら全体を混ぜる。 5. アスパラガス、ハーブを加えて約1分煮る。味見をして、塩、コショウ少々で味を整える。 6. 器に盛り、お好みで粉チーズをふる。 <<< ● VOL.17 ● 薬味たっぷりで食べる初鰹  ■■  P R O F I L E  ■■  自宅料理教室「チアフルキッチン」主宰にんべん だしアンバサダー柏木京子(かしわぎ きょうこ) 出産時に生死の境をさまよった経験から「食の大切さ」を実感、自宅などで料理教室を始める。夫がアメリカ西海岸に転勤になった2011年からSkypeによるオンライン料理教室を開始。帰国後は「いまさら聞けない料理の基礎」など主婦の悩みに応えるテーマのレッスンを次々企画、人気を博す。オンライン教室はのべ1,000人以上が参加。自宅での料理教室もリピーターが多い。   更新日:2021年6月2日(水)

  • 第8回 竺仙のゆかた

     花火大会や夏祭りといえば、若い女の子はこぞってゆかたを着ます。普段と違う女性らしさをボーイフレンドにアピールしたり、友だち同士で盛り上がったり、女の子たちは実に生き生きと楽しそうです。でも大人の女性はどうでしょう。ゆかたを着る機会は意外と少ないのではないでしょうか。大人が涼しげにゆかたを着る姿は素敵なものです。今までゆかたと縁がなかった方も、この夏はぜひ大人のゆかたに挑戦してみませんか。 ■■ 第8回 竺仙のゆかた ■■  創業天保13年(1842年)、ゆかたといえば「竺仙」というほど有名な日本橋の老舗です。創業当時から現在に至るまで、企画・生産・販売を一貫して行い、江戸染ゆかたの独特の技術を活かし、ゆかたから江戸小紋へと世間に名を馳せ、歌舞伎の世界にも登場したという竺仙。時代を超えた奥行きの深さ、伝統的でありながら洗練された豊富な柄が、多くのファンを引きつける魅力です。「ゆかたも今や夏きもの」という5代目当主の言葉にもあるように、和服というだけで注目されるこの頃。まずは素敵なゆかたを選ぶことから始めてはいかがでしょうか。 竺仙の魅力は染めの種類の豊富さ (左)大胆な柄が目を惹く竺仙紬ゆかた「万寿菊の柄」と麻織八寸帯(右)店主おすすめの新作・奥州小紋「松の柄」と麻兵児帯    ひと口にゆかたといっても生地の種類や染め方により様々。竺仙のゆかたアイテムは、コーマ白地、地染・コーマローケツ・コーマ玉むし・紬ゆかた・綿芭蕉玉むし・紅梅小紋・奥州小紋・縮小紋中形・絽小紋中形・絹紅梅小紋・麻小紋・絽長板・縮長板等50アイテム、約1000柄にも上ります。染め方は、長板中形、注染、引き染、先染、ローケツ染、しごき染、まぼろしの染めといわれるリバーシブルの染色法があり、それぞれの特徴を活かした魅力的な柄が染められます。 大人が着るから素敵なゆかた  上の写真は紫陽花を染め上げた奥州小紋。大人の女性の魅力を引き出す1枚です。原案である竺仙の紫陽花の柄を日本画家・宮下真理子氏にアレンジし描いてもらったという創作柄。細かいタッチで葉脈まで丁寧に描かれていて優しい雰囲気が魅力です。またグッと大人っぽい下の2点は、大胆な柄が目を惹く竺仙紬ゆかた「万寿菊の柄」と麻織八寸帯(左)と、紫陽花と同じく宮下真理子氏による奥州小紋「松の柄」と麻兵児帯。こんなゆかたを纏ったら気持ちもグッと上がりそうですね。 ゆかたで過ごす夏の宵 長引くコロナ禍で、夜のお出かけが少なくなった今、自宅で食事をする人が増えています。必然的に家飲みも増えますね。そんな夫婦の時間をたまには2人揃ってゆかたで過ごしてみてはいかがでしょうか。居ながらにしてお出かけ気分が味わえるし、普段と違う姿にお互いを惚れ直すかも。ゆかたはそんな新鮮さを運んでくれます。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第7回 小千谷縮 ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 《 今月のワンポイント:パナマ 》   夏の素材というのは清々しくていいものです。着物でいえば、麻が肌に触れた時のひんやりした感触は気持ちいいし、綿紅梅、絹紅梅も爽やかです。夏の着物を粋に決めたいなら、足元はパナマ。パナマ帽と同じパナマで、原料は中米産のヤシに似た多年草。さらっとした履き心地は最高です。ただし、こちらはあくまでお洒落用。紬と同じく高価でもカジュアルなので、履いていく場所は選びます。   更新日:2021年6月2日(水) 『大人の嗜み 〜きもの美を知る〜』についてご意見・ご感想をお聞かせ下さい。 ★このコラムに対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。下記フォームより必要事項をご記入して頂き送信して頂いた方の中から抽選で10名様に『有松絞りの手拭い』をプレゼント!! ★プレゼント応募〆切は6/30(水)12:00まで※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。(色は選べません) [[aform017]]

  • 第7回 小千谷縮

     暑きものを着るのにちょうどいい季節になりました。でも暮春とも初夏とも言えるこの時季は、着るものに迷う時でもあります。一般的に5月は袷(あわせ)といわれていますが、日によっては25度を越すような夏日もあります。そんな日に袷は厳しいですね。お茶席など特別な場合は別として、個人で楽しむならしきたりに縛られる必要はないというのが最近の考え方です。単衣や紗合わせなど、その日の気温や体感に合わせて臨機応変なお洒落を楽しみましょう。今月は一足早く夏のきもの「小千谷縮」を取り上げます。 ■■ 第7回 小千谷縮 ■■  新潟県小千谷市周辺では古来より苧麻(ちょま)という上質の麻を原料とした麻織物が織られていました。江戸時代初期に、それまでの越後麻布に改良を加えて完成したものが小千谷縮です。さらっとして肌に張り付かない爽やかな着心地の秘密は、緯糸に強い撚りをかけ織り上げた後に湯もみを行うことで出る独特のしぼ。その独特の風合いが高い評価を得て、昭和30年に国の重要無形文化財に指定されました。また、小千谷縮は平成21年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。  春の風物詩「雪さらし」は、小千谷縮の指定工程の1つ。雪と紫外線の作用により発生したオゾンが麻布に含まれる色素を分解・漂白することで、白が強調され鮮やかになります。新品だけでなく、着た後のきものも雪さらしをすることで汗ジミや汚れが落ちてさっぱりするのです。この効果は麻布の特徴で、約800年前から行われているそうです。自然の力ってすごいですね。 手入れが簡単なのが1番の魅力    真夏のきものは、当然ながら暑いものです。それを、汗もかかずに涼しい顔で着るのが夏きもののダンディズムというものですが、本音を言えばできるだけ涼しく着たい。その点、小千谷縮は麻ですから素材としてその条件をクリアしています。「麻はシワになるから」と敬遠される方もいますが、多少のシワは味のうち。絹でも木綿でも座ればシワになります。また、麻のきものの良いところは、家でザブザブ洗濯ができてすぐ乾くこと。ネットに入れて洗濯機で洗った後、着物用ハンガーにかけてパンパンと叩いておくだけで、シワがピント伸びてアイロンがいらないのも魅力です。着る度に洗えるのは気持ちがいいですね。 きものとして、浴衣として 小千谷縮は、「きもの」としても「ゆかた」としても着ることができます。襦袢を着て半襟を出して夏帯を締めればきものになりますし、襦袢を着ないで半幅帯を締めればゆかたのように着こなすことができます。きものとして着る場合も、半襟や帯などの素材次第で単衣としても薄物としても着ることができるので、6月から9月まで色々な着方で楽しめます。そういう意味では、1枚で何役もこなしてくれると便利なきものといえますね。 買いやすい値段もうれしい 小千谷縮はお値段が安いのも魅力。繊細な手仕事による重要無形文化財の小千谷縮は別として、一般に流通している小千谷縮は5万円前後です。これなら手が出しやすいですね。「きものの着付けはできないけどゆかたなら大丈夫」という方にも、大人のゆかたとしておすすめです。木綿より上等な雰囲気になりますし、肌に張り付く木綿より麻の方が遥かに気持ちが良くて快適です。ただ麻は透け感があるので和装の下着は必要です。というわけでいいこと尽くしの小千谷縮。この夏ゆかたの購入を考えている方はぜひ検討してみてはいかがですか。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第6回 大島紬 ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 《 今月のワンポイント:草木染め 》   草木染めのきものも魅力的ですね。草木染めは通常、染料となる植物を煮出した液に灰などを加えて媒染して色を出しますが、クサギ(臭木)は媒染なしで鮮やかな水色に染まります。夏に白い花を咲かせ、秋になると赤いガクに宝石のような瑠璃色の実をつけるクサギ。この実の色からは想像もできないほど爽やかなブルーを生み出すのです。クサギという可哀想な名前は、葉に独特の悪臭がすることから付けられたそうです。   更新日:2021年5月12日(水) 『大人の嗜み 〜きもの美を知る〜』についてご意見・ご感想をお聞かせ下さい。 ★このコラムに対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。下記フォームより必要事項をご記入して頂き送信して頂いた方の中から抽選で10名様に『有松絞りの手拭い』をプレゼント!! ★プレゼント応募〆切は5/28(金)12:00まで※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。(色は選べません) [[aform017]]

  • VOL.17 薬味たっぷりで食べる初鰹

    ● VOL.17 ● 薬味たっぷりで食べる初鰹    5月に美味しい魚といえばカツオ。春のカツオは「初鰹」と呼ばれ、さっぱりしているのが特徴です。たっぷりの薬味をのせてポン酢をかけるのがおすすめ。今回は便利に使える薬味をご紹介します。3〜4日保存が効くので、たっぷり作って色々に合わせてみてください。自家製ポン酢にはレモンの皮を加えて爽やかさをプラスしました。買ってきたポン酢も、お好みの柑橘類をプラスするとさらに美味しくいただけます。カツオはビタミンBや鉄分が豊富。初鰹、ぜひこの季節に召し上がってくださいね。お酒の肴にもバッチリです。 【材料】(3〜4人分)かつおの刺身(柵)............... 400gくらい(今回はお店で皮を焼いたもの)かいわれ.............................. 1パックみょうが.............................. 3本 新しょうが........................... 1かけ青じそ................................. 10枚 自家製ポン酢 ☆出汁(濃いめ)..................50ml ☆みりん.............................. 大さじ1 ☆醤油(濃口)..................... 50ml ☆砂糖................................. 小さじ1 ☆米酢................................. 小さじ1 ☆「レモンの絞り汁...............1/2個分 ☆レモンの皮のすりおろし...... 適宜 ■ 作り方 ■     1. 自家製ポン酢を作る。レモンの皮の黄色い部分だけをすりおろす(白いワタは苦くなる)。 2. 出汁、みりんを耐熱皿に入れ、600Wで1分加熱する。そこへ残りの☆の調味料を加える。 3. 薬味を全て細かく切る。 4. 水に放してゆっくり3回混ぜ、ザルに上げて水気を切る。キッチンペーパーで水気をよく拭き取る。 5. よく冷やしたかつおのたたきを厚めに切り、たっぷりの薬味と一緒に盛り付ける。 6. 自家製ポン酢をたっぷりかけていただく。 7. 残った薬味は翌日、冷奴やお味噌汁、サラダのトッピングなどに。 <<< ● VOL.16 ● たけのこと豚肉の香り炒め  ■■  P R O F I L E  ■■  自宅料理教室「チアフルキッチン」主宰にんべん だしアンバサダー柏木京子(かしわぎ きょうこ) 出産時に生死の境をさまよった経験から「食の大切さ」を実感、自宅などで料理教室を始める。夫がアメリカ西海岸に転勤になった2011年からSkypeによるオンライン料理教室を開始。帰国後は「いまさら聞けない料理の基礎」など主婦の悩みに応えるテーマのレッスンを次々企画、人気を博す。オンライン教室はのべ1,000人以上が参加。自宅での料理教室もリピーターが多い。   更新日:2021年5月12日(水)

  • 第6回 大島紬

     暑くも寒くもない、気持ちのいい季節になりました。街を歩くとあちらこちらで春の花々や若葉が目に入り、春のエネルギーを浴びて元気になる気がします。きものを着てお出かけするにも良い季節ですね。さて、外国人にも人気のきもの。一般には派手な色柄の方が外国人には好まれると思われていますが、フランス人の友人たちが「なんてシックなきものなんだ!」と褒めてくれたのは、どれも無地に近い落ち着いた色合いの紬でした。今月はそんなきものの1つ、大島紬を取り上げます。 ■■ 第6回 大島紬 ■■  きものに詳しくない方でも「大島紬」の名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。日本三大紬の1つで、きものの女王ともいわれる大島紬。手で紡いだ絹糸を泥染めし、手織りした平織りの着物で、奄美群島の伝統工芸品。本場大島紬は、タテ・ヨコの絣をカスリ合わせて織り上げますが、独特の絣模様は繊細かつ鮮やかで、鉄分を多く含むため虫食いが起きにくいという特徴があります。  奄美大島では、古くから養蚕と織物が盛んに行われていました。天智天皇の頃にはテーチ木(車輪梅)染が始められたとされ、東大寺正倉院の宝物帳にも「南島から褐色紬が献上された」と記されています。大島紬が真綿からの手紡ぎ色から今のように光沢のあるしなやかな糸になったのは明治中期のこと。この頃にいざり機から高機に変わり生産性が向上、高級織物として広く知られるようになりました。  大島紬は鹿児島と奄美大島で織られていますが、泥染めに使う泥は奄美大島にしかありません。そのため泥染めにはすべて奄美大島の泥が使われます。その泥染めに欠かせないのが車輪梅。車輪梅のことを沖縄地方の方言でテーチ木、またはティカチといいます。独特の深い黒は、このテーチ木で何十回も染めた後に泥染めすることで生まれるのです。 泥染めに欠かせないテーチ木(車輪梅)    大島紬ができるまでには30〜40の工程があります。その1つひとつを見るだけでも大変な作業だということが伝わって来ます。絣を作る柄締めのための糸は、12〜16本の糸がまとめて糊付けします。細かく切ったテーチ木は何時間も煮出し、図案に基づいて糸がくくられます。どの工程を見ても、それはもう考えただけで手のかかる作業で、このすべての工程が人の手で行われていることを思うと、大島紬の社会的地位の高さにも納得してしまいます。 図案通りに糸くくりをして染めます    大島紬の美しさは、細かな点と点を合わせて作る絣の美しさです。島の自然の動植物や道具、風土に根ざした伝統的な文様など様々。値段はピンキリですが、目が飛び出るほど高級なものであってもフォーマルな場所には来て行けないのが紬の運命。もっとも、最近では披露宴など格式の高い場以外のパーティーには着て行ってもよいという人も多くなりました。きものの格式をあまり厳格に守ろうとすると、敷居が高くなり着る人が余計に減ってしまいます。きもの文化を守るためにも、明らかに場違いなものは別として、あまり厳格にしない方がいいという気がします。とはいえ、紬は柄ゆきが普段着っぽいものが多いですね。パーティーにふさわしいかどうかは柄にもよるのです。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第5回 結城紬 ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 《 今月のワンポイント:履物 》   きものの足元といえば草履。草履にはフォーマルとカジュアルがあり、見た目がまったく違います。正式な場所の草履は裂地かエナメルで色は金・銀・白。かかとの高さは5〜6センチで、高ければ高いほどフォーマルだといわれています。一方、紬や小紋、綿や麻のきものに合わせるのはカジュアルな草履。こちらは素材も様々で、雨に強いウレタン素材・畳表やパナマの台にお洒落な柄の鼻緒で遊びの要素がいっぱいです。意外と目立つ足元。ステキな草履で足取り軽く歩きたいですね。   更新日:2021年4月7日(水)

  • VOL.16 たけのこと豚肉の香り炒め

    ● VOL.16 ● たけのこと豚肉の香り炒め    春の訪れと同時に旬を迎えるたけのこ。たっぷりのお湯と米糠で湯がいて味わう山の恵みです。豊かな風味と甘さ、シャキシャキの食感はこの時期にしか味わえない格別な味! 下茹でからは大変そうという方は、お店で茹でたたけのこを使うのがお勧め。一年中売っているパックの水煮とは別物の美味しさです。今回はシャキシャキの食感を味わいたくて、たけのこを大きめに切りました。しっかり焼き色がつくまで焼き、香ばしさを加えましょう。木の芽を添えて、旬の美味しさをたっぷり味わってくださいね。 【材料】(4人分)豚肉 .............................. 200g 塩 .......................................... 小さじ1/4たけのこ .............................. 200g絹さや .............................. 20枚くらい オイル .............................. 小さじ2醤油 .............................. 小さじ2 みりん .............................. 小さじ2木の芽 .............................. 5〜6枚 ■ 作り方 ■     1. 豚肉は食べやすい大きさに切り、分量の塩をふる。 2. たけのこは4〜5cm、厚さ7mmくらいと、少し大きめに切る。 3. 絹さやは筋をとり、半分に切る。 4. フライパンにオイルを入れて豚肉を炒め、こんがり焦げ目をつける。皿に取り出す。 5. そのままのフライパンにオイルを入れ、たけのこに焦げ目をつけるように焼く。 4.の豚肉、絹さやを入れて炒め、調味料を加えて全体にからめる。 7. 皿に盛り付け、木の芽を添える。 <<< ● VOL.15 ● ねぎじゃこ  ■■  P R O F I L E  ■■  自宅料理教室「チアフルキッチン」主宰にんべん だしアンバサダー柏木京子(かしわぎ きょうこ) 出産時に生死の境をさまよった経験から「食の大切さ」を実感、自宅などで料理教室を始める。夫がアメリカ西海岸に転勤になった2011年からSkypeによるオンライン料理教室を開始。帰国後は「いまさら聞けない料理の基礎」など主婦の悩みに応えるテーマのレッスンを次々企画、人気を博す。オンライン教室はのべ1,000人以上が参加。自宅での料理教室もリピーターが多い。   更新日:2021年4月7日(水)

  • 第5回 結城紬

     すっかり春めいてきたこの頃。今年はサクラも早そうだという話を聞きました。そういえば、去年は満開のサクラの頃に大雪が降ったのを思い出します。滅多に見られない美しい風景に心を奪われて、窓の外を飽きずに眺めていました。東京で雪が降るのは春が近づいてからが多いので、今年もそんな景色が見られるかもしれません。 さて、きものは大きく分けて硬いきもの(織り/紬)と柔らかいきもの(染め)の2つがあります。今回は紬の中で最も古い絹織物という結城紬を取り上げます。 ■■ 第5回 結城紬 ■■  日本三大紬といえば、「結城紬」、「大島紬」、3番目は諸説あって「牛首紬」、「塩沢紬」、「上田紬」などが挙げられます。中でもきもの好きの憧れの1つが結城紬。茨城県結城市で織られる結城紬の歴史は古く、奈良時代にまで遡ります。当時、常陸国の特産物として朝廷に上納された布(あしぎぬ)は紬の原型とされ、奈良・正倉院に保管されています。室町時代になると結城家から幕府・関東官領へも献上されたことから「結城紬」と名を変えました。以後長年にわたり成長してきた結城紬は、昭和31年に国の「重要無形文化財」に、昭和52年には「伝統的工芸品」に指定されています。 ■■結城紬の魅力は真綿紬の風合い  結城は繭から手紡ぎした撚りのかからない無撚糸で織られます。重要無形文化財の指定要件はこれに加え、絣模様をつける場合は手くびりによること、地機(いざり機)という最も原始的な織機で織ること、とされています。糸をくくって絣模様を作る「絣くくり」は、最も単純とされる80亀甲(反物の幅に80個の亀甲模様が入る)で160ヶ所、最高の細かさである200亀甲では約400ヶ所にもなります。1反にかかる絣くくりは数ヶ月にも上る場合もあり、手が変わるとくくる強さが変わるため、最初から最後まで1人の職人さんが行います。結城に行くと機屋さんを見学することができますが、奥順という有名な機屋さんで今はもう作ることができないという店の宝を見せてもらったことがあります。それは細かい亀甲が並んだ美しい反物でした。 ■■ きもの1枚に帯3本  結城紬は柔らかくて軽いといわれますが、新しいものは印象ほど柔らかくはないのです。というのも、3代にわたって洗い張りを繰り返して、水をくぐるほどに着心地が良くなっていくので、昔は「下ろし立ては女中さんに着せろ」といわれたほど。その感覚はちょっとジーンズに似ていますね。  上の画像は無地の結城紬です。ひと足早くサクラの帯を合わせてみました。きものが面白いのは、季節をそのまま表現できるところ。自分がサクラに同化したかのように、帯揚げにも薄いピンクをあしらい、帯締めも緑からピンクの暈しを合わせます。こんな風に、季節そのままの格好をするのは洋服ではあまりしないこと。きものならではの楽しみです。日本文化は季節感を大切にするので、きものにもそういう感覚が反映されるのです。サクラの柄は散るまでの数週間使うことができますが、きもの通の人の中には、節分、桃の節句、七夕といった、年中行事のたった1日だけのための帯や帯留めを用意する人もいます。そういう贅沢も、きものの楽しさのひとつといえます。  同じきものに南風原の花織の帯を合わせてみました。きもの1枚に帯3本といわれるように、帯を変えるとまた違う雰囲気になります。春はもうすぐそこ。みなさんもきものでお出かけしてみてはいかがですか。(文/レディ東京編集者 中島有里子) <<< 第4回 本場黄八丈と久米島紬 ←こちらからバックナンバーを読む事ができます 《 今月のワンポイント:長襦袢 》   きものの下に着る長襦袢は密かなお洒落です。関東では友禅などの華やかなきものより無地やシックな色合いが好まれますが、その分長襦袢で遊びます。袖口や袂からこぼれる色や柄に着る人のセンスを感じてハッとすることがあります。ちなみに、襦袢はポルトガル語のジバン(袖の広い上着)が語源とのこと。16世紀頃南蛮人によってもたらされたそうです。意外ですね。そういえば祖母は「長ジバン」と言っていましたが、それが正しい発音だったということですね。   更新日:2021年3月3日(水) 『大人の嗜み 〜きもの美を知る〜』についてご意見・ご感想をお聞かせ下さい。 ★このコラムに対するご意見・ご感想をぜひお聞かせください。下記フォームより必要事項をご記入して頂き送信して頂いた方の中から抽選で10名様に『有松絞りの手拭い』をプレゼント!! ★プレゼント応募〆切は3/24(水)12:00まで※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。(色は選べません) [[aform017]]